2016.11.10

ビジネスEYE Vol.300


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

『パナソニックプラズマディスプレイ解散 負債5000億円、製造業で過去最大』  [ ITmedia ]

パナソニックは10月31日、プラズマディスプレイ(PDP)の生産を手掛けていた子会社のパナソニックプラズマディスプレイを解散すると発表、翌11月1日付けで大阪地裁に特別精算を申請しました。

負債額はパナソニック1社に対して約5000億円。2012年に会社更生法を申請したエルピーダメモリの負債額は4480億円。製造業の倒産としては、過去最大規模と言えます。

 

一時代を築いた『プラズマディスプレイ』が凋落した理由とは?本日のメルマガでは、「専用性と汎用性」について考えます。

 

パナソニックプラズマディスプレイ株式会社は、パナソニック(75%)、東レ(25%)の出資による合弁会社として2000年10月に設立されました。

2009年3月期にはプラズマディスプレイパネルの世界シェア1位を獲得、年間売上高は3100億円超に達するほどに成長しました。

プラズマ事業はこれで安泰かに思われましたが、2007年のサブプライムローン問題にはじまる一連の「世界的金融危機」により、時代の潮流は大きく変化していくことになりました。

 

◇ 時代の潮流の変化がもたらしたもの

時代の潮流の変化は、消費者の志向にも影響をもたらしました。一番わかりやすいのが「エコ・省エネ志向」でしょう。これまであまり見向きされてこなかった家電の消費電力・待機電力などが購入の際に意識されるようになり、必然的に高額・消費電力が大きいプラズマディスプレイは購入対象から外されていきました。

 

◇プラズマディスプレイの”メリット”と”デメリット

<メリット>

・色再現性が高い

・応答性が早い

・黒の表現が得意

 

<デメリット>

・消費電力が大きい

・熱を発しやすく、焼き付きが起こる

・小型化しにくい

 

プラズマディスプレイの強みは、その専門性でしょう。ただ、その専門性を追い求めたことが、意図せず時代と逆行していったのです。また、液晶ディスプレイの技術革新による飛躍も圧迫要因となりました。

メーカーサイドでは、大型はプラズマ、その他サイズは液晶といったように、簡単に棲み分けができると踏んでいたようです。皮肉なもので、予想以上に早かった技術革新がその壁を取り払うことになり、プラズマの優位性は徐々に奪われていきました。

つまり、消費者心理として、『専門性』よりも『汎用性』を選択したのです。

プラズマ事業に参入していた各メーカは、次々と撤退に踏み切りました。(日立、パイオニア、ソニー、東芝、シャープ、LG電子、サムスン)

そしてパナソニックプラズマディスプレイも2014年3月までに生産を終了、工場資産の処分完了にともない解散することを決定してました。ちなみに、2014年3月期の売上高は、202億円程度まで大幅縮小していました。

 

◇ 「良い商品だから売れる」は勘違い

プラズマディスプレイと液晶の関係性をみていると、カセットビデオの「ベータ」と「VHS」を思い出しますね。もちろん、プラズマがベータ、液晶がVHSです。このときは、販売戦略・技術要因など複合的な理由でVHSに軍配が上がりましたが、そのVHSも今ではDVD・BDに取って代わられています。

技術革新と消費者の志向の変化は、生産者の想定を常に上回っていきます。

「良い商品は黙っていても売れる」時代は過ぎたのです。

商品を持続的に販売するには、消費者にその商品の『価値』を知らせること、そして”専用性”と”汎用性”、この相反する2つのバランスをとることが必要でしょう。また、マーケティング・広報活動にも注力する必要があります。

もちろん、大前提として「良い商品・良いサービス」であることが前提です。

消費者の購買意欲を掻き立てるプラスアルファをできる企業だけが、勝ち残っていくのではないでしょうか。

以上、中村 亨の【ビジネスEYE】でした。

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