2016.09.01

プレミアムフライデーから考える『働き方に対するマインドシフト』(Vol.292)


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

『月末の金曜は午後3時退社 個人消費喚起へ「プレミアムフライデー」構想 』 (SankeiBiz)

個人消費の喚起を目的に新たな取り組みが検討されているようです。その名も「プレミアムフライデー」。月末の金曜日は午後3時に退庁・退社し、夕方の時間を買い物や旅行などに充てさせようとするものです。この構想…賛否両論の議論を巻き起こしそうですね。本日のビジネスEYEでは、「プレミアムフライデー」について考えます。

プレミアムフライデー構想の背景

プレミアムフライデー構想の背景には、アベノミクス・第2ステージで掲げられた「新3本の矢」があります。第1の矢とされた「名目GDP600兆円を2020年頃に達成すること」を実現するための施策として、この構想が生まれました。政府・経団連は、GDPの約6割を占める個人消費を拡大させるのが目標達成への近道であると考えたようです。長らく低迷状態にある個人消費を拡大させることができるでしょうか?

個人消費を引き上げることが背景に

現在の個人消費は約300兆円程度にとどまっています。目標達成には、360兆円規模まで引き上げる必要があります。人口統計-平成28年8月報-(総務省統計局)によると、現在15歳以上の人口は約1億1092万人。単純計算で増加予定の60兆円を頭割りすると、1人当たり約54万円。月平均で約4万5000円の消費を創出しなければならない計算になります。月額4万5000円…なかなか敷居が高いですね。

政府・業界全体が一丸となってプレミアムフライデーに連動したセールやイベントなどを開催して消費を喚起するとありますが、収入が増えない・不景気感が強い状況下で、終業時間を単純に早めることに意味があるのでしょうか。机上の空論といった感が否めません。

働き方を考える

プレミアムフライデーの目的は「個人消費の喚起」にとどまります。そのため、月末の最終金曜日の労働時間についてしか明言してありません。そもそも残業が発生しないような職場であれば、スムーズに制度を導入することができるでしょうが、常態的に残業が発生するような職場であれば、話は別です。

例えば、常態的に2時間残業が発生している場合、プレミアムフライデーにより5時間も早く仕事を切り上げることになります。では、その5時間の行方は…。名ばかりのプレミアムフライデーと割り切り、自宅に持ち帰って仕事をしたり、他の日の残業へ回す、もしくは休日出勤で取り戻すなんてことが容易に想像できます。

プレミアムフライデーは労働者に向き合った施策か?

経済効果の観点では、プレミアムフライデーにもメリットはあるのでしょう。ただ、現場で働く従業員に対して真摯に向き合っているか?と問われれば、Noと言わざるを得ません。経済効果のみにフォーカスし、労働者は完全に置き去りにしているプロジェクトなのですから。企業の持続的発展を目指すのであれば、耳触りのいい甘言で濁すのではなく、時間外労働の削減や有給消化率の解消などの根本的問題に取り組むべきです。

ワークライフバランスへの配慮は、ダイバーシティの観点からも重要なファクターとなります。経営層に限らず、従業員一人ひとりが『働き方に対するマインドシフト』を起こす必要がありそうです。

 

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