大和ホールディングスにとっての「変えるべきもの」「変えざるべきもの」(Vol.285)


『UNCHANGEBLE THINGS 会社には「変えてはいけないもの」がある』  WIRED Vol.23

物流業界で“独り勝ち”との声も聞かれる「ヤマトホールディングス(HD)」。本日のビジネスEYEでは、「使命感・価値観」について考えてみます。

進化の秘訣

ヤマトHDの強みは、何と言っても『徹底的な現場主義・現場力』でしょう。震災時の社員の対応、高齢者向けの「まごころ宅急便」の開発等々、「現場」起点で着想する需要創造力は、同業他社と一線を画しています。この『現場力』は一体どのようにして養われたのでしょうか?ヤマトHD社長の山内氏は次のようにコメントしています。

「ヤマトには会社が好きな社員が集まっている」
「社員が“世の為、人の為のインフラとして役立つ”という使命感を持っている」

この『使命感』が非常に重要な鍵です。

使命感が共有された組織は、独自の行動原理や風土を形成し、発展していきます。ことヤマトHDの場合、最前線にいる配達員が社会のニーズを的確にさらい、それを新サービスへと昇華する体制が整っています。業種・業態に関わらず、“現場発”の着想・企画がどれほど重要かを痛感させられます。

変えるべきもの、変えざるべきもの

現代のようなモノ・サービスが飽和した社会では、質・価格によって他社と差別化を図ることは難しくなります。裏を返せば、消費者サイドの判断基準も別のところに置かれるということです。現在の判断基準は『共感できるか否か』です。企業・組織へ共感することで、自身の存在意義を確認しているのでしょう。これは日本固有ではなく、世界的にも同じ流れにあるそうです。

これまで不可能と言われてきた「ミッション(社会的意義)」と「ビジネス(利益)」の両立。如何に多くの共感を得られるかが生き残りのカギとなります。ヤマトHDにとっての「変えるべきもの」は、サービスや制度・仕組み、そして「変えざるべきもの」は、そのサービスの土台となるヤマトの価値観です。

使命感・価値観というと、高尚で現実離れをした話と思われがちですが、それなくして人を衝き動かすことはできません。ぜひ、自社にとっての“使命”や“価値”を再確認してみてください。経営のヒントがきっと隠されていると思います。

 

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