厚生労働省より今年度の地域別最低賃金額の公表が2021年8月13日にありました。昨年はコロナ禍の影響を受け、大幅な引き上げはありませんでしたが、今年度には、地域別最低賃金の全国平均額は28円増の時給930円となり、過去最大規模の引き上げとなりました。
最低賃金以上の金額を支払わない場合、たとえ労働者との合意があったとしても「違法」とみなされます。今回のビジネスEYEでは、最低賃金の検証をする際のチェックポイントをご紹介します。
■地域別最低賃金の現状
全国加重平均額 | 930円(+28円) |
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最高額 | 東京都【1,041円】 |
最低額 | 高知県・沖縄県【820円】 |
引き上げ額 | +32円:島根県【824円】 +30円:秋田県【822円】・大分県【822円】 +29円:青森県【822円】・山形県【822円】・鳥取県【821円】・佐賀県【821円】 +28円:その他40都道府県 |
出典 令和3年度 地域別最低賃金 答申状況(https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000662334.pdf)
■最低賃金はいつから適用?
最低賃金の発効年月日は都道府県別に決定されます。例年では10月初めに適用されますが、都道府県ごとに適用される日が異なるため、その前にアルバイトの求人内容を見直すなどの対応が必要になります。
■最低賃金を検証する際の留意点
最低賃金額は、「時間給」で定められています。日給や月給者であっても「最低賃金の対象となる賃金」を1日・1ヶ月の所定労働時間で割り戻したとき、最低賃金を下回る額となる場合には、その差額が未払賃金となります。
①基本給と手当の組み合わせで賃金が併給される場合、最低賃金の対象となる手当に「算入すべき手当」と「算入してはいけない手当」があることをご存知でしょうか。
算入すべき手当
・住宅手当
・別居手当(単身赴任手当など)
・子女教育手当
算入してはいけない手当
・家族手当(家族数により決定するもの)
・通勤手当(実費弁償的なもの)
・精勤手当(精勤手当、皆勤手当)
・臨時に支払われる手当(慶弔見舞金など)
・割増手当(時間外手当、固定残業代など)
・1か月を超える期間ごとに支払われる手当(賞与など)
②一賃金計算期間の途中に最低賃金の発効年月日が到来する場合も留意が必要です。例えば、毎月15日締め、25日払いの東京の事業所では、9月16日から9月30日までの賃金については、昨年度の最低賃金額の適用となり、10月1日から10月15日までの賃金については、今年度の最低賃金額の適用となります。
賃金計算途中で最低賃金額が変更されるため、昨年度の最低賃金額のままで計算している場合は、今年度の最低賃金額との差額が未払賃金となります。
最低賃金を検証するにあたっては、①算定方法は間違っていないか ②給与計算期間途中に最低賃金の発効日はないか。今一度、ご確認ください。
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