コーポレート・アドバイザーズがお届けする「中村 亨の【ビジネスEYE】」です。
少子高齢化が進み労働人口が減少するなかで、経済成長を続けるには「労働生産性の向上」が必要不可欠です。先進国のなかでも、特に低いといわれる “日本の労働生産性”。2014年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、72,994ドル(768万円)で、OECD加盟34カ国中第21位。米国の6割程度となっています。
今回から数回にわたり、「労働生産性をあげるには、どうすればよいのか?」を考えていきたいと思います。本日のテーマは、「実態を知る」です。
日本の労働生産性は、主要先進7カ国でも最も低い水準
2014年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、72,994ドル(768万円/購買力平価(PPP)換算)。順位をみるとOECD加盟34カ国中第21位でした。2005年から21位の状況が続いています。
*労働生産性 = GDP/就業者数(または就業者数×労働時間)(購買力平価(PPP)により換算)
第1位はルクセンブルク
労働生産性が最も高かったのは、ルクセンブルク(138,909ドル/1,462万円)。ルクセンブルクは主力産業である鉄鋼業のほか、ヨーロッパでも有数の金融センターがあることで知られ、GDPの半分近くが産業特性的に生産性が高くなりやすい金融業や不動産業、鉄鋼業などによって生み出されています。
また、法人税率などを低く抑えることで、数多くのグローバル企業の誘致にも成功しています。こうしたことから、国レベルでも極めて高い水準の労働生産性を実現しています。
1990年には日本と同水準だった、第3位のアイルランド
第2位はノルウェーの126,330ドル(1,330万円)
第3位はアイルランドの118,272ドル(1,245万円)
第4位は米国でした。
アイルランドは、低い法人税率や各種の外資企業優遇策をてこに、米国などの有力企業の欧州拠点誘致に成功しており、グローバル企業の利益や付加価値を国内に呼び込むだけでなく、生産性の高い大企業による高賃金の雇用を数多く生み出しています。1990年に日本をやや上回る程度だったアイルランドの労働生産性が、2014年には日本を6割近く上回るまでに上昇したのは、こうした取組みが功を奏したためのようです。(日本の生産性の動向2015年版より)
労働生産性を向上させる身近な方法「残業を減らし効率よく働く」
残業については、「するな、減らせ」と言うだけでなく、状況別の対策が求められます。対策は部下の状況、タイプで分けると以下のようになります。皆さんの周りで当てはまる方はいませんか?
(1)キャパシティオーバー
状 況:本人の処理能力を超えた業務量がある
対 策:負荷分散と指導による本人の能力向上
(2)夜型人材
状 況:昼は落ち着かないという理由で、まとまった仕事は夜に回してしまうタイプ
対 策:「日中にまとまった仕事をするためにはどうすればよいか?」といった質問を投げかけ、解決策を考えさせ自発的に習慣を変えるよう仕向ける指導する
(3)仕事好き
状 況:仕事が好きで、責任範囲の仕事を終えても、新たな課題に取り組むためきりがなくなるタイプ
対 策:「就業時間の中で密度の濃い仕事をするには」という課題に取り組ませる
(4)残業代狙い
状 況:残業代狙いのタイプ
対 策:月次の残業枠を決め、その中で終わらないようならば、役割分担を変更して重要な仕事から外す可能性もあることを告げ、粛々と進める。
(5)ワーカホリック
状 況:仕事熱心さや責任感が度を超え、際限なく仕事をしてしまう
対 策:メンタル不全の一種で、状況によっては、カウンセリングに連れて行く必要がある(BizCOLLEGE 2012.12.11より)
まずは、実態を把握することが大事だと思います。そして、業務効率化の方法に関しては、上司と部下が互いに納得のいくよう、話し合って行うのがよいでしょう。次回から、様々な観点から労働生産性を向上させる方法を考えていきます。
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