コーポレート・アドバイザーズがお届けする「中村 亨の【ビジネスEYE】」です。
前回のビジネスEYEでは、「マイクロソフト」によるビジネス向けSNS大手「リンクトイン」の買収について、買い手である「マイクロソフト」の視点からお伝えしました。今回は、売り手である「リンクトイン」の視点から考えてみます。
MSのリンクトイン買収はデータ目的?
米マイクロソフト(以下、MS)がビジネス向けSNSのリンクトインを262億ドル(約2兆7500億円)で買収することに合意しました。この買収は、MSやそれと競合するIT大手が膨大な量のデータ(検索、電子メール、交流ネットワーク、閲覧行動)の取得を強く求めていることを示す事例といえます。
リンクトインの買収によりMSは、交流サイトの月間アクティブユーザー1億550万人の仕事、同僚、雇用主に関する詳細情報という宝の山を入手することになります。MSは他に類を見ないデータを活用して法人顧客への対応で優位に立ちたいと考えているようです。
変化を迫られたリンクトイン
2002年にカリフォルニアで創業したリンクトインは、ビジネス向けSNSや求人サービスの分野で確固たる地位を築き、昨年は30億ドルの収益があったと発表しています。しかし、使いにくい、迷走しているとの声もあったようで、リンクトインの世界だけでは成長を加速させることは難しかったのかもしれません。そういう意味では、大手テクノロジー企業の傘下に入るのは理にかなっているように思われます。
なお、MSによる買収完了後、リンクトインは現在の「ブランド、文化、独立性」を維持する形で継続すると発表されています。また、リンクトインのCEO、Jeff Weiner氏はMS傘下で指揮をとり続ける予定です。リンクトインにとっては、今回のM&Aで、その地位を再度固めるチャンスが得られるかもしれません。(参考: 2016.6.16 WALL STREET JOURNAL By JAY GREENE)
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