2021.09.30

新規雇用を促進する「人材確保等促進税制」について(Vol.539)


令和3年度税制改正で新卒・中途採用による外部人材の獲得や人材育成への投資を促進する制度として、大企業に適用となっていた「賃上げ・生産性向上のための税制」が名称や内容を変更し、「人材確保等促進税制」として延長されることになりました。

中小企業向けの「所得拡大促進税制」は引き続き期限の延長と適用要件の一部が改正されており、中小企業については2つの税制のうち有利な方を選択できます(併用はできません。)。

今回のビジネスEYEでは、大企業・中小企業ともに検討できる「人材確保税制」についてご紹介します。

■適用要件

人材確保税制は、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用されます。

通常要件は新規雇用者給与等支給額が比較事業年度(前事業年度)より2%以上増加していることです。この場合、控除対象新規雇用者給与等支給額の15%を法人の場合は法人税額、個人の場合は所得税額から控除することができます
(法人税額または所得税額の20%を控除上限とします。)。

上記の通常要件に加えて上乗せ要件として、教育訓練費の額が前年度より20%以上増加している場合は、「控除対象新規雇用者給与等支給額」の20%を法人税額又は所得税額から控除することができます。

なお、適用事業者は青色申告書を提出している個人事業者及び法人(設立事業年度、解散事業年度、清算中の事業年度は対象外となります。)です。

■新しい概念『新規雇用者給与等支給額』とは

従前の「賃上げ・生産性向上のための税制」は2年以上継続的に雇用している者の給与額の増加割合によって判定を行いましたが、新設された「人材確保等促進税制」では、新規の雇用者の給与額の増加割合が判定要素となります。
つまり、新規雇用を生み出すことを促進している税制優遇となります。

ここでいう「新規雇用者給与等支給額」とは、国内新規雇用者のうち雇用保険の一般被保険者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額をいいます。

※国内雇用者・・・役員と役員の親族を除き、パート・アルバイト等を含む使用人で国内事業所に勤務するその事業者の賃金台帳に記載されている者をいいます。

■『控除対象新規雇用者給与等支給額』とは

また、税額控除の計算の基礎となる「控除対象新規雇用者給与等支給額」とは、控除を受ける事業年度(適用年度)において、国内新規雇用者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額をいいます。

前述の「新規雇用者給与等支給額」との相違点は、国内新規雇用者を雇用保険の一般被保険者に限らない点及び雇用安定助成金等(例えば雇用調整助成金)を控除する点になります。

■まとめ

これまでは直近2年以上在籍している正社員(継続雇用者)の給与を引き上げることが要件だったため新規採用を行ったとしても適用対象となりませんでしたが、今後は新規採用者に対する給与増加が要件となるため、積極的な採用(新卒・中途ともに)の
増加が求められることになります。

さらに大企業向けの「賃上げ・生産性向上のための税制」においては設備投資要件が厳しかったため、給与増加の要件は満たしても設備投資要件を満たさず、税額控除が受けられなかった企業が多くありましたがが、この要件が撤廃されたため、対象法人が増えるものと思われます。

前述のように中小企業は併用ができないものの、「人材確保促進税制」「所得拡大促進税制」両税制の適用要件の判定を慎重に行う必要があります。

◇◇‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

月次決算や税務顧問、会計アウトソーシングなど税務会計にお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

当グループには、お客様のサポートを通じて蓄積した豊富な経験やノウハウがあります。様々な規模・業態のお客様へ、最適なサービスを提供いたします。ご相談はオンラインでも承っております。

<お問合せ先>
日本クレアス社会保険労務士法人
電話:03-3593-3241
お問い合わせフォーム:https://ca-sr.com/contact/

 

中村亨のビジネスEYE メールマガジン
日本クレアス税理士法人|コーポレート・アドバイザーズでは、会計の専門家の視点から、経営者の次の智慧となるような『ヒント』をご提供しています。
> 日本クレアス税理士法人 サイトTOPに戻る <