2015.11.26

ビジネスEYE Vol.254


“モノ”が溢れ、“モノ”が売れ難くなっている時代ですが、その中でも、ヒット商品を次々に出している企業があります。

本日のメルマガでは、この企業の商品開発方針から見えてくる “心に刺さる商品・サービス”について考えてみたいと思います。

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◆ マーケットは自ら作る
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『ファイルとテプラのキングジム』

 

同社は、主力商品である「キングファイル」と「テプラ」を軸に、1980年~90年代後半にかけて、右肩上がりに業績を伸ばしていました。

破竹の勢いがこのまま続くかに思われましたが、2000年代に入ると業界そのものの求心力が衰えていきます。

理由は2つ。
・安価な中国製品の流入…安価で大量生産された中国製ファイルの台頭により、ファイル単価は半値にまで下落

・パソコン普及によるペーパーレス化…安定した売上が見込める公官庁・民間企業のペーパーレス化移行により、紙ベースの文房具ニーズが著しく低下

この煽りを受け、キングジムは2006年6月期まで売上高は6期連続で減収。
国内に3か所あった工場はすべて閉鎖し、生産拠点を東南アジアへ移転することになりました。

この流れを変えたのが、現在のキングジムを支える『デジタル文具』の登場でした。

2008年末に発売された電子メモ「ポメラ」は、発売初年度に当初計画比の3倍もの売上を上げるヒット商品になりました。

実はこのポメラ、開発段階での評価は意外なものでした。
社外取締役1人を除き、皆が「売れない」と断言していたのです。

低評価にも係わらず、蓋を開ければまさかの大ヒット。
これがきっかけとなり、同社は大きな変貌を遂げることになりました。

同社は、「売れないと思っても、10人に1人が大絶賛してくれるなら作る価値がある」と開発方針を転換したのです。

宮本社長も次のように語っています。
「商品を出さずに考えてばかりいるのが一番のムダです。世間に問えばすぐに反響があるので、そこから学ぶのが一番早い。小さくても自ら市場を作ってトップシェアを取ることが大事だと思っています。」
(NIKKEI BUSINESS 2014.11.10)

一般的に、多くの経営者は、商品・サービス開発の際、熟考に熟考を重ね、よりヒットしやすいターゲット層を想定して動きます。
これはこれで正解であると言えます。

ただ、時にはキングジムのように「1割の顧客の心に刺されば良し」と割り切り、小さいターゲット層に目を向けることも必要なのかも知れません。

 

固執から放れ、失敗を恐れない。

 

多産のなかから次の軸となる商品・サービスを探す。
その繰り返しこそが、自社の強みとブランド力を強化させていくことになるのでしょう。

事実、キングジムは2015年6月期には2期連続で増収・増益となっています。

以上、中村 亨の【ビジネスEYE】でした。

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