2015.11.12

ビジネスEYE Vol.252


人口減少が進む中、あらゆる業界で『再編』が進んでいます。

 

本日のメルマガでは、『業界大手2社以外の営業利益率が0%に近い水準にある」という非常に厳しい環境に置かれている業界に触れながら、「自社の業界全体の魅力度」について考えてみます。

◆ 自社の『ファイブフォース』は大丈夫か?

この30年で2,000社以上あった企業が、500社程度にまで激減した業界があります。

それは「日用雑貨品卸業」です。

かつて“消費財メーカーが10万社・小売店が100万店”あると言われた日本で、メーカーと小売りが直接取引をする非効率性を解決し、必要な情報をメーカーに届ける存在として、日用雑貨品卸業は必要な存在でした。

しかし、この業界を取り巻く環境の変化(人口減少など)により、企業数は大幅に減少しています。

中でも、この企業数激減の理由の一つに挙げられるのが『小売業界の再編』です。

イオンを中心とした小売業界の再編により、従来よりも小売り側のバイイングパワーが強まった結果、小売り側からの返品要求を断れず、卸側の利益率が悪化する状況が生じています。
(東洋経済オンライン 9月3日より)

マイケル・ポーター氏(ハーバード大学経営大学院教授)が提唱した有名な戦略フレームワークに「ファイブフォース」という理論があります。

簡単に説明すると、
“業界の収益性”を決める5つの競争要因から業界の構造分析を行う手法のことです。この分析手法を使えば「その業界全体の魅力度」を測ることができるそうです。

早速、今回の「日用品雑貨品卸業」に当てはめてみましょう。
まずは5つの競争要因です。

1.新規参入業者
2.代替品
3.売り手(供給業者)
4.買い手(顧客)
5.競争業者

同業界は、上記「4.買い手(顧客)」の交渉力が強まったことが、結果として卸業界全体の利益率を悪化させました。

しかし、実はこれに留まらず「3.売り手(供給業者)」の交渉力も高まっているのです。
このようなアンバランスな状態はいったいなぜ起きているのでしょうか。

その答えは、日用品・トイレタリー最大手の花王にありました。

同社は、自前の販売会社を通じて小売店に商品を『直販』を行っています。
実はこの『直販』、『卸』を使う他の企業と比較すると、収益性は群を抜いているのです。

今後は、花王に対抗するため「卸の中抜き」が進む可能性を含んでいます。

今回ご紹介した日用雑貨品卸業に限らず、自社の業界でもこの「ファイブフォース」の変化については、常にアンテナを張っておく必要がありそうです。

その際には、自社のビジネスに関連するベンチャー企業の動向に注目しておくと良いでしょう。
業界地図を塗り替える革新的な技術やビジネスモデルは、往々にして「思いもよらない刺客」がもたらすものです。

以上、中村 亨の【ビジネスEYE】でした。

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