2015年に入っておよそ8,000人の人員を削減している米マイクロソフト。大幅リストラに呼応する形で、同社の株価も低迷…と思いきや、同社の株価は今年10月以降、上昇を続けているのです。そこで本日のメルマガでは、「マイクロソフトの大規模リストラから見えてくる同社のメッセージ」について考えてみたいと思います。
選択と集中の加速化
今年7月、米ソフトウェア最大手のマイクロソフトは、『携帯端末部門』を中心に、最大で7,800人を削減すると発表しました。ちょうど1年前にも『携帯部門』を中心に18,000人の削減を発表していますので、今回はそれに続く大型のリストラ。(朝日新聞デジタル 7月9日より)
さぞ業績も低迷しているかに思われましたが、2015年7月~9月期の同社の業績はアナリスト予想をはるかに上回るものに。株価もこれを受け、42.39ドル(2015年9月28日)から50.79ドル(50.79ドル)にまで上昇しました。
大規模リストラ断行が株価を押し上げる。何だか矛盾しているように思えますね。ここで鍵となるのが「リストラの中身」なんです。今回マイクロソフトが行った大規模リストラの内訳は、昨年フィンランドの通信機器大手ノキアの携帯端末事業を買収した際のもの。昨年買収した部門をリストラ?と誰もが思うでしょう。聞き違いではありません。
選択と集中の経営戦略
そもそもこの買収は、いわくつきだったのです。米マイクロソフトの前CEOスティーブ・バルマー氏がこの買収を執り行っていましたが、
当時から「時代遅れ」と大きな批判を集めた案件だったのです。なぜなら、ノキアは、アップルなどの勢力に押され、事実上過去の遺物となっていたためです。そこで現CEOのサティア・ナデラ氏は、マイクロソフト復活の一手として、早期かつ大胆な決断を行った、というわけです。
今回のマイクロソフトの大規模リストラは、競合ひしめくスマホ事業を縮小し、今後成長が見込めるクラウド事業を強化するという「選択と集中の加速化」というメッセージが込められているのでしょう。
”新しいこと”
現代マーケティングの第一人者と言われているアル・ライズ氏は著書の中で次のように述べています。あなたが新製品を開発するとき、真っ先に問題にすべきことは“この新製品は競合商品よりどこが優れているか”ではなく、“どこが新しいか”ということである。言い替えれば、この新製品はどのカテゴリーで一番手かということだ。(出典:「売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則」
固定概念に縛られず、カテゴリーで一番手になれるものを追うことも時には必要なのかも知れません。
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