経営者にとっての悩みの種となる『税務調査』(Vol.247)


年間9万1000件。何を示す数字か分かりますか?答えは「税務調査」の実績件数(平成25事務年度/国税庁発表)です。ネガティブなイメージが先行する「税務調査」。正しい申告をしていても、得体の知れない調査に対し、不安を感じる経営者の方がほとんどではないでしょうか。経営者にとっての悩みの種となる『税務調査』に焦点を当て、掘り下げてみたいと思います。

税務調査の実態

平成25事務年度で行われた実地調査(9万1000件)のうち、実に約73%(6万6000件)で申告に誤りがあると指摘されました。申告漏れの所得金額は7,515億円、追徴課税額は1,591億円。1件あたりで換算すると、申告漏れが829万円、追徴課税額が175万円。率直な感想はいかがでしょうか?割合的にも1件当たりの金額も「結構、高いな」と思われた方が多いのではないでしょうか?

意外に知らない税務調査

税務調査は事前連絡により、日程調整の上で実施されます。もちろん例外もあり、脱税(仮装隠蔽)行為の嫌疑がかけられている、現金決済で商売を行っているなどの場合は通告なしで調査が入ります。テレビ等でみる“マルサ(国税査察官)”の印象が強いでしょうが、あれは大口かつ悪質な脱税者に対して行われる『査察(強制調査)』であり、一般的な中小企業であれば『税務調査(任意調査)』にとどまります。

税務調査を受けやすい会社

過度な心配は不要です。調査対象はランダムに選ばれるわけではありません。傾向としては、下記に当てはまる会社が対象となり易いと言われています。
・設立して3期程終了した会社
・売上高や粗利益率などが大きく変動している会社
・以前の調査で大きな追徴課税を受けた会社
・脱税が多い業界の会社 など

実地調査は中小企業で通常2日~1週間(場合によっては1日)程度で、社長・経理担当・顧問税理士が同席するのが一般的です。
法的に日数が決められていませんので、稀に長期化する場合もあります。

次号では「税務調査が入った場合の準備・心得等」について触れます。事前通知を受けた際にどんな準備をするのか?心構えは?のほかに、調査官がどのようなポイントを見ているのかなど、具体例を交えて解説します。

調査官との雑談に注意

最後に、調査官との雑談が後のトラブルに発展した例を挙げておきます。下の話のなかで、何が問題になってくるか、お分かりになりますか?
【01】「飲み会は多いんですか?」
【02】「ゴルフはどのくらいの頻度で行かれるんですか?」
【03】「奥様も従業員ですよね。今日はいらっしゃらないのですか?」
【04】「最近、不動産・車などの大きな買い物をされましたか?」
【05】「外注が多いとスケジュール管理やら大変ですよね?」
答えは次回のメルマガでお伝えします。是非ご一読ください。

 

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