今、30年前に提唱された「STPDサイクル」というマネジメント手法に注目が集まっています。一般によく知られているのは「PDCAサイクル」という手法ですが、この手法のよくある問題点を克服しようとするのが「STPDサイクル」です。そこで本日のメルマガでは、両マネジメント手法から見るプロジェクトマネジメントの肝について考えてみたいと思います。
最も有名なものは「PDCAサイクル」
マネジメントサイクルで最も有名な「PDCAサイクル」とは、
Plan (計画)
Do (実行)
Check (評価)
Action(改善) のサイクルを指します。
ウィリアム・エドワーズ・デミング博士が提唱したことから、「デミングサイクル」とも呼ばれており、もともとは品質管理の分野から出てきた概念と言われています。(IT pro 3月27日より)
このPDCAサイクルは、プロジェクト管理に有効な考え方ですが、「自社商品のブランドイメージ」や「外部の市場環境」など、計画を立てる際に担当者による「思い込み」が入ると誤ったアプローチを取りかねない、という課題を含んでいます。そこで提唱されているのが「STPDサイクル」。
思い込みを外す「STPDサイクル」
この手法は次の4つのステップでマネジメントが行われます。
【STPDサイクル】
See (じっくり見る)
Think (どうするべきか考える)
Plan (計画する)
Do (実行する)
このSTPDサイクルは、ソニーの小林茂氏(当時の常務取締役・厚木工場長)が約30年前に提唱されたものと言われており、「しっかりとありのままの事実を見る」ことによって思い込みを外し、その事実が起きている原因を分析したうえで計画を立てることを主眼にしています。
以前、リゾートホテルや温泉旅館を運営する星野リゾートの星野佳路社長が、業績不振が続き再生が必要な地方旅館に対するアプローチについて、ある講演のなかで大変興味深い話をしていました。「お客さんが減少してくると多くのオーナーは減少している理由を探ろうとする。しかしそうではなく、衰退する中でも相変わらず毎年来てくれるお客さんに対して、なぜこんな旅館でも毎年来てくれるのか?を知ることが重要です。その事実をしっかり捉えた上で、その方たちをターゲット層にした再生計画を立てればいい。」
手段の目的化の罠
SPTDサイクルは、事実をしっかり直視し思い込みを外す、という意味で有効ですが、「どの事実を捉えるべきか?」という点にも注意が必要です。そして、何より大事な視点は、時間をかけ過ぎないことです。新規プロジェクトを進める上では「やってみなければわからない」という現実があることもまた事実です。マネジメントサイクルを効果的に利用するためには、計画を立てることや、事実を捉えること自体が目的化する「手段の目的化の罠」にはまらないよう、常に客観的な目を保つことが必要でしょう。
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