2022.05.26

インボイス制度における免税事業者の取扱い<前編>(Vol.567)


中村亨の「ビジネスEYE」です。

2023年10月1日より消費税のインボイス制度が開始となります。

インボイス制度においては、免税事業者からの仕入について、
買い手側において消費税の仕入税額控除がとれないという不利な状況が起こることになります。

よってインボイス制度開始をきっかけとして、
買い手側における免税事業者との取引条件の見直しを検討する傾向がみられるようになってきました。

条件見直しの交渉の方法によっては独占禁止法や下請法に抵触する恐れがあります。

こうした免税事業者との取引に関する対応の考え方等を示した
「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」を
財務省や公正取引委員会などが2022年1月19日に公表、
追って公表後に事業者から寄せられた質問等に基づき、3月8日付けで当Q&Aを一部改正しています。

今回のビジネスEYEでは、インボイス制度開始後の、
売り手及び買い手それぞれにおける免税事業者に対する取引の影響や
法律上問題となる行為について見てみましょう。

インボイス制度実施における免税事業者の取引による影響

インボイス制度が実施された後も、
消費税の計算の原則(※1)は変わりません。

但し、仕入税額控除を行うためには適格請求書発行事業者から
適格請求書(インボイス)の交付を受け、保存をしておくことが必要となります。

このインボイスには消費税率や消費税額が記載されるため、
売り手と買い手の表裏一体となる消費税の対応関係が明確になり、
消費税の計算がより正しくされやすくなることになります。

ただし、免税事業者(※2)は
適格請求書発行事業者ではないため、インボイスを発行することができません。
免税事業者から請求書等の交付を受けた買い手については、
仕入税額控除を受けることができないという問題が生じます。

しかし、取引の影響に配慮して仕入税額控除については経過措置が設けられており、
免税事業者からの仕入についても、インボイス制度実施後3年間は消費税相当額の8割、
その後の3年間は5割の仕入税額控除が可能とされています。

この経過措置期間までに免税事業者は今までどおり免税事業者を維持するか、
課税事業者かつ適格請求書発行事業者の届出申請を行うかの
選択を迫られることになるかと思います。

上記のような免税事業者等の売り手である小規模事業者(下請け事業者)は、
買い手である事業者(元請け事業者)と比べて力関係の格差があり、
取引条件が一方的に不利になりやすくなる場面も想定されます。

このような状況下で買い手である元請け事業者の意向で取引条件が見直される場合、
その交渉内容等によっては、独占禁止法又は下請法等に抵触する可能性が生じてきます。

次回メルマガでは、具体的な問題となる交渉内容等についてご説明します。

(※1)
売上に係る消費税額から仕入に係る消費税額を控除<仕入税額控除>した差引額を納税する原則

(※2)
基準期間の課税売上高が1,000万円以下の課税事業者選択届出書を提出していない消費税の納税義務がない小規模の事業者

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