2022.07.14

「法定相続人」と「法定相続分」(Vol.573)


はじめに

そもそも「法定相続人」と「法定相続分」とはどういうものかを、簡単にご説明すると、下記の通りとなります。

  • 法定相続分……財産を相続するにあたり、各相続人の取り分を法律上で定めた割合
  • 法定相続人……法律上で定められた、財産を相続する権利がある人

 
実際ここ数年、金融機関等が相続対策に力を入れていたこともあり、上記の語群を耳にする機会も増えた思います。
しかし意外と内容を勘違いされることも多く、実際に問合せがあった内容を交えながら解説していきたいと思います。

法定相続人の範囲

まず遺言書等が無い場合の相続に関しては、法律上で相続人になれる人の順位と範囲が決まっています。
法定相続人の順位は以下の通りです。

順位 続柄
常に相続人 配偶者
第1順位
(子が先に他界していた場合は孫)
第2順位 父母
(父母が先に他界していた場合は祖父母)
第3順位 兄弟姉妹
(兄弟姉妹が先に他界していた場合は甥姪)

 
上表のように配偶者は必ず相続人になり、配偶者がいる相続の場合には、配偶者+最も順位の高い人が相続人となります。
つまり子がいる場合には配偶者と子、子がいない場合には配偶者と父母というように相続人になれる範囲が定められています。

また、子が先に他界してしまっていた場合には孫が相続人(代襲相続)となるため、仮に相続発生時点で子がいなかったとしても、すぐに父母や兄弟姉妹が相続人になれるわけではないので注意です。

この法定相続人に関する質問でよくある質問は、「親が亡くなり相続が発生したが、子である私自身も高齢のため、今回は相続放棄をして先に孫に相続させたいが可能か?」というものです。
確かに先程の表を見直すと孫も第1順位に位置しているため、「相続放棄をすると孫が相続できる」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし相続放棄とは、「相続人の立場そのものを放棄する行い」であるため、放棄した場合には孫へ権利の代襲をすることはできず、放棄を行った者の次の順位の人に
権利が移ることになります。

法定相続人になれない人

上記では法定相続人の範囲について案内しましたが、法定相続人に該当するかどうか判断に迷われるケースもありますので、例を挙げて解説していきます。

  • 内縁の妻もしくは夫
    戸籍上で籍を入れていない事実上の婚姻関係、所謂内縁の妻(夫)は現行の法律では相続人になることはできません。
    もし内縁の妻(夫)に財産を渡したい場合は、必ず遺言書を書いておくことをお勧めします。
  • 再婚相手の連れ子
    再婚相手に連れ子がいた場合も、自身の子として判断していいのか迷われると思いますが、基本的には相続人になることは出来ません。
    但し例外として、連れ子と養子縁組を行えば実子と同じ立場を与えることができるため、相続人になることができます。

 
相続人になれるかどうかは、遺言書や養子縁組の場合を除くと「血縁関係があるかどうか」で考えると判断しやすいかもしれません。

法定相続分の割合

続いては法定相続分についてのお話です。
これまでで述べたように法定相続人になれる人については一定の範囲が設けられており、実際に相続が発生した際の、相続順位の組み合わせによって各々の法定相続分が変動します。

パターン別の法定相続分は以下の通りです。

相続人 法定相続分
配偶者と第1順位(子もしくは孫) 配偶者1/2
残り1/2を第1順位の人数で均等に分割
配偶者と第2順位(父母もしくは祖父母) 配偶者2/3
残り1/3を第2順位の人数で均等に分割
配偶者と第3順位(兄弟姉妹もしくは甥姪) 配偶者3/4
残り1/4を第3順位の人数で均等に分割

 
配偶者や子供と比べ、父母や兄弟姉妹については被相続人の財産に依存して生活しなければならない可能性は低いため、表のように法定相続分が低く設定されています。

そして法定相続分に関する質問で1番多いのが「法定相続分通りにしっかりと分割しないといけないのか?」というものです。
冒頭で述べたように法定相続分とは、法律上で定められた各相続人の取り分ではありますが、実は法定相続分とはあくまで分割の基準であり、相続人全員が納得した上であれば分割の仕方は自由なのです。

極端な話、配偶者の方が全て相続することも可能ですし、相続人の内1人を除いた残り全員で均等に分割するという内容でも問題はありません。

ここが1番勘違いされやすい部分であり、実際に相続が発生してからこの事実を知り、当初は法定相続分通りに分けるつもりだったが相続人1人が法定相続分の分け方に反対したため、紛争に発展してしまったという話も珍しくありません。

では「法定相続分に意味は無いじゃないか」と思われる方もいらっしゃいますが、相続税の計算や遺産分割協議の調停等で法定相続分が利用されています。

日本の相続税の計算では、仮に法定相続分通りに分割が行われたと仮定して税金の算出を行うことになっており、遺産分割協議で全員の合意が得られず調停や審判に発展してしまった場合には、法定相続分を基準として分割されることが多いです。

まとめ

このように「法定相続人」や「法定相続分」について意外と勘違いされている事が多々あり、相続について正しい知識を有していないと生前対策に失敗してしまったり、相続が起こってから相続人間で揉めてしまい紛争に発展してしまいます。

遺された相続人間で争わないためには、生前の内から相続税のシミュレーションを行い財産を誰にどう遺したいのかを明確にする必要があります。

日本クレアス税理士法人では相続税専門チームによる質の高い相続申告書の作成は勿論のこと、生前の相続税対策や遺言書作成、養子縁組を検討した相続シミュレーションも承っております。

ご相談は無料で承っておりますので、相続で大変な思いをしない・させないためにも、まずはお気軽にお問合せくださいませ。
 

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