令和3年育児介護休業改正法の第1弾の施行日である2022年4月1日が間近に迫ってきました。厚生労働省では、昨年11月30日に「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A」を公開し、運用上の留意点等について示しています。
今回は、2022年4月に企業が対応すべき事項のうち、労使協定の再締結が必要となる場合についてお知らせします。
1.2022年4月施行内容
4月に施行される育児介護休業法の改正内容は次のとおりです。
②育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け
③有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
特に③有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和については、引き続き雇用されていた期間が1年未満の有期雇用労働者についても、育児休業申出の権利が付与されるため、以下の下線部要件を現行規程に定めている場合は削除が必要となります。
2.改正前の育児・介護休業取得要件
育児休業の場合
(1) 引き続き雇用された期間が1年以上
(2) 1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない
介護休業の場合
(1) 引き続き雇用された期間が1年以上
(2) 介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでない
3.労使協定による適用除外
今回の改正により、引き続き雇用された期間が1年未満の有期雇用労働者も育児・介護休業を取得することができるようになり、法律上の対象外ではなくなります。
他方、労使協定により、「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者」を適用除外とする定めについては、条文内容(現行の育児・介護休業法第6条第1項)の変更はないため、有期雇用、無期雇用問わず、育児・介護休業の適用除外として定めることができます。
ここで留意が必要なのが、既に締結している労使協定において、「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者」の定めをしていた場合、労使協定を締結し直さなくても改正後は有期雇用・無期雇用問わず当該労使協定により除外されるのでしょうか。
実は、改正後において引き続き雇用されていた期間が1年未満の有期雇用労働者についても適用除外とする場合は、改めて労使協定を締結し直す必要があります。
施行日に合わせて再締結する場合は、労使協定の有効期間の開始日を令和4年4月1日(施行日)と記載することになります。つまり、労使協定の内容は変わらずしも、有効期間の起算日を改正法施行日以降に変更しておかなければ、効力が発生しませんので、留意が必要です。
4.労使協定の再締結の必要性
「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&Aでは、次のQ&Aが記載されていますので、ご参照ください。
Q4-3:今回の改正で、引き続き雇用された期間が1年未満の有期雇用労働者について、
法律上対象外から労使協定除外の対象に変更になりますが、既に締結している労使協定において、
引き続き雇用された期間が1年未満の労働者について有期雇用・無期雇用を問わない形で除外していた場合、
労使協定を締結し直さなくとも、改正法の施行後は有期雇用・無期雇用問わず当該労使協定により
除外されると解して良いですか。
A4-3:改正前の法第5条第1項ただし書では、引き続き雇用されていた期間が1年未満の有期雇用労働者には
育児休業申出の権利が付与されていなかったところ、今回の改正法により、引き続き雇用されていた期間が
1年未満の有期雇用労働者についても、育児休業申出の権利が付与されました。
このため、改正法の施行後において、有期雇用労働者も含めて、引き続き雇用されていた期間が1年未満の
労働者について、法第6条第 1 項ただし書に基づき当該申出を拒む場合は、そのことについて、
改めて労使協定を締結していただく必要があります。
「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000860549.pdf
日本クレアス税理士法人|日本クレアス税理士法人│コーポレート・アドバイザーズでは、会計の専門家の視点から、経営者の次の智慧となるような『ヒント』をご提供しています。