ドローン節税のメリット・デメリット(Vol.558)


中村亨の「ビジネスEYE」です。

2021年12月に発表された税制改正大綱において、少額資産の購入代金を全額経費計上して、
その年の法人税を抑える、いわゆる『ドローン節税』スキームの封じ込めが盛り込まれました。
全損保険の出口対策や決算期末の節税対策として活用されていた経営者の方も多いのではないでしょうか。

税制改正の対象となった理由としては、
2019年に税制改正の対象となった生命保険に代わる繰延商品として、
行き過ぎた節税対策であると判断されたのではないかと思われます。

今回のビジネスEYEでは、そのスキームの概要と改正内容をお伝え致します。

ドローン節税とは

ドローン節税の概要は、まず投資家が決算期末にドローンを大量に購入します。
購入したドローンをドローンスクールや建設会社などに貸し付けることで、
貸付期間中に賃料収入が発生して、投資金額を回収する事が出来ます。
貸付けた賃料は投資金額の103%前後の戻りが期待できると言われています。

なぜ節税になるのか

では、なぜこのスキームが節税対策になるのでしょうか?

法人が取得した減価償却資産のうち、
購入価格が10万円未満の資産は、その年において全額経費計上する事が可能です。

例えば、
1台9万円のドローンを100機購入すると900万円、
500機を購入すると4,500万円の利益を圧縮することが出来ます。

決算期末にドローンを大量購入することで、利益の圧縮を行うことが可能になるのです。

そして、翌年以降賃貸収入を得ることで投資したキャッシュの回収を行うことが出来て、
利益の繰延効果が発生します。

メリットとデメリット

このスキームのメリット、デメリットは次の通りです。

◆メリット

  • 購入費用が一括で損金になる。
  • 投資利回りが確定している。
  • 投資期間が1年と短期間である。

少額減価償却資産に該当するため、購入予定の金額が決算で一気に損金になり、
また、保険のように毎年支払う必要がないので投資期間の計算も楽なものと言えます。
そして、契約時に賃料として翌年以降の回収金額が確定されますので、
利回りが明確な事も大きなメリットと言えます。

◆デメリット

  • 貸出先が倒産する恐れがある。

購入した期に一括で損金になるメリットがある一方、
貸出先の倒産や廃業に関しては保証されていませんので、
それらのリスクを十分に理解する必要があります。

税制改正大綱の内容について

今回の税制改正大綱では、取得価格が10万円未満の減価償却資産のうち、
貸付けの用に供したものを、少額減価償却から除外するとされました。
(主要な事業として行われているものは除く)

決算期末にドローンを大量購入して、第三者へ賃貸するスキームは完全に崩れたと言えます。

適用時期は令和4年4月1日からと予測されますので、
実施をご検討される場合は、3月末までに実行する必要があるかと思われます。

類似のスキーム

今回ご説明したドローン節税と同様に、『足場レンタル』という課税繰延べスキームがあります。

工事現場の足場を購入して、建築会社へレンタルするというもので、
足場一脚当たりの価格が少額減価償却資産に該当します。

こちらも同様のスキームで節税対策として有効でしたが、
同じく第三者への貸付けに該当しますので、
今回の税制改正の対象となって規制されてしまいます。

今回の税制改正大綱で生命保険に続き、節税対策にまた一つ規制が入ることになります。

ただ、生命保険もドローンも基本的な考え方は課税の繰延です。
出口対策が伴って初めて節税対策として成立しますので、入口と出口のいずれも対策が必要です。

保険やリースも含めて出口対策は整っていますでしょうか。

日本クレアス財産サポートでは、節税商品の出口対策や現在加入している保険の見直しなど、
お客様のお悩みに合わせたご相談を承っております。

ぜひお気軽にご相談くださいませ。

◆お問合せ◆
日本クレアス財産サポート
電話:03-3593-3263
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