スペシャル対談
SPECIAL TALK

中村 亨による編集後記/2015年9月
同じ理想を目指し、ロマンを共有した戦友。CAの“いま”を創る軌跡を大切にしたい。

「古い対談なので連載はやめましょう。」

HPリニューアルにあたり、社内からはこういった意見もあがりました。しかしこの対談では、当社の理念の礎となる重要なメモリーワークが語られています。読み返すたびに私のベンチャースピリットをくすぐる当時の熱い想いが蘇ります。この対談を残すことで、共に挑戦し続けるスタッフにもこの軌跡に込められた想いを伝えたい。そして私自身がCAに対するロマンを見失うことなく挑み続けたい。だからこそこの対談は引き続き連載させていくべきだという決断に至りました。

本田さんと共に成し遂げた「バックスグループの上場」というミッションは、当時とても難易度の高いものでした。1つの目標に向け共に挑んだ彼とは、「戦友」として今も互いに信頼し合い、プライベートでも深い関係性を築いています。彼の仕事に対する姿勢からは、学ぶものがたくさんありました。特に何かをやり始めると驚異的な集中力を発揮し、スピーディーにやり遂げる決断力と瞬発力。そのストイックさには目を見張るものがあります。

「短期集中型」の彼とは対照的に私は「長期集中型」。
仮説と検証を繰り返し、“継続は力なり”を地でいくタイプです。タイプの違う我々だからこそ互いに刺激を受け成長することで、このIPOをやり遂げられたのだと感じています。
かつて監査法人に所属していた時のように、業務の慣れに甘んじ、信念に反し「実質」よりも「形式的」な仕事をしていた頃。このミッションが、私の信念でもある「会計士として中小企業やベンチャー企業の成長のため本気で向き合いたい」という熱い思いを奮起させました。経営的な視点と会計士の視点を併せ持ち取り組む私に対して、彼からの信頼は絶大なものでした。私の意見に真摯に耳を傾け、共に戦略を練る毎日。それが叶った瞬間、幾多の困難も喜びへと姿を変えました。

この対談を読み返すたびに、ひたむきにクライアントを思い、信念を貫いた当時を思い出します。彼と私の関係性こそ、弊社の目指す「Long Term Good Relation」の形。会社を成長させ、1人でも多くの熱い信念を持つプロフェッショナルを育て、日本の企業に活力を与えたい。この対談を残すことで、常に己を奮い立たせ、「Long Term Good Relation」の精神を広く世に伝える。

それがコーポレート・アドバイザーズを担う私の責任であり、信念です。
ベストセラー「レバレッジ」シリーズの著者と語る
「会計のプロフェッショナル論」
いま日本のビジネスパーソンに最も注目されているビジネス書は何だろうか。
真っ先に挙げられるのは累計70万部を超えた「レバレッジ」シリーズだろう。
同シリーズは時間活用法や勉強法に“レバレッジ(テコの原理)”の考え方を応用するという内容。
そして、その著者・本田直之が“会計のプロフェッショナル”と認めるのが、
コーポレート・アドバイザーズ代表の中村だ。
今回は2人に、あるベンチャー企業で力を合わせてIPOを果たした経験と“会計のプロフェッショナル論”などを聞いた。
会計士の実力には幅がある
― 以前、本田さんと中村さんは同じベンチャー企業の経営に携わっていたそうですね。
本田 :
はい。私は2000年にバックスグループの取締役に就任し、経営企画およびIPO準備の責任者にな りました。そこで外部の会計分野のエキスパートを探していた時に、当時トーマツ*に勤めていた中村さんとお会いしたんです。中村さんの経歴と仕事に懸ける想いを聞いて、この人こそ私が探していた人だと思いました。
中村 :
そして、2000年にトーマツを退社した私は、バックスグループの監査役に就任しました。バックスでは私が監査役として会計面のアドバイスをしながらIPOを目指しました。
本田 :
中村さんに監査役に就任してもらって、分かったことがあります。それは会計士の実力はピンキリだということ。それまで他の会計士にお願いしていたのですが、中村さんの方がはるかに優れていました。
*日本を代表する監査法人の一つ
経営を理解した会計のプロフェッショナル
― どんな点が優れていたんですか?
本田 :
会計と経営の両方を深く理解している点ですね。たとえば監査法人の指導をそのまま100%聞いてしまうと、現実のビジネスは成り立ちません。しかし、もちろん法令は遵守(じゅんしゅ)しなければいけない。そのバランスが非常に難しい。そんな中、中村さんは私たち経営陣の語る " 経営のコトバ " を " 会計のコトバ " に上手く通訳してくれ、監査法人や証券会社に語ってくれた。つまり監査法人の指導と現実のビジネスの最大公約数を導き出し、ビジネスを着実に前進させてくれたんです。
― 中村さんは、なぜそんなことができたのでしょうか。
中村 :
それは私がトーマツで企業の会計監査をしていた7年間、常にクライアント企業の立場に立って物事を考えていたからだと思います。私にとって会計の知識はあくまでツールであって、真の目的はクライアント企業の成長を支援することでした。また学生時代に自分でベンチャー企業の経営者のようなことをやっていた経験も活きたと思いますね。
本田 :
中村さんは、様々な課題への解決策をアドバイスしてくれました。その時、「経営を深く理解している人が監査役をやらないとダメだ」と痛感しました。これが私の原体験として今も強烈に残っていますね。その後も私たちは様々な問題に粘り強く取り組み、2001年9月には晴れてジャスダック市場へIPOを果たすことができました。
投資した全てのベンチャー企業にCAを紹介(本田)
― 現在、本田さんはレバレッジコンサルティングの社長、中村さんはコーポレート・アドバイザーズ(以下、CA)の代表をしています。やはり、IPOを目指した経験が現在の会社経営に活きているのでしょうか。
本田 :
そうですね。いま私が行っている事業はベンチャー企業への投資と経営コンサルティングですが、これは過去に私がやったことの横展開なんです。なぜ横展開かと言うと、成長中のベンチャー企業は、その成長過程でほぼ同じ問題が起こるからです。特にIPO準備の段階で、問題は顕在化していきます。私はIPO準備に非常に苦労した経験がありまので、今は私が投資した全てのベンチャー企業にCAを紹介しています。実際にCAが支援すると、会計周りが整うことはもちろん、会社経営そのものが改善されます。
中村 :
当社の強みはベンチャー企業のことを深く理解し、スピード感を共有できる点です。それができるのは当社自身がベンチャースピリットを持っているからでもあります。そして、その原点にあるのは本田さんと一緒にIPOを目指した経験だと思います。
資格 ≠ プロフェッショナル
― 中村さんが考える“会計のプロフェッショナル”を教えてください。
中村 :
「会計士」や「税理士」という資格の有無は、「会計のプロフェッショナルであるかどうか」とは関係ありません。なぜなら会計士や税理士の中には非常に言い訳が上手い人もいるからです。問題が起きるとその問題に立ち向かわずに逃げてしまう。そんな人をプロフェッショナルとは呼べません。真のプロフェッショナルとは、言い訳をせず問題に真正面から立ち向かう人のことだと思います。
― 最後に、本田さんから中村さんへメッセージをお願いします。
本田 :
中村さんは良き友人であると同時に、信頼できるプロフェッショナルでもあります。そして、知識と経験が豊富にありながらも、決して威張ることはない。また苦しい時期を一緒に乗り越えてきたので、戦友のような存在かもしれません。ちなみに最近気づいたのは、中村さんは非常に子煩悩(ぼんのう)だということ(笑)。昨年末に私のハワイの家にご家族で来て頂いたんですが、3歳になる息子さんを非常にかわいがっていました。その時は、普段の真面目でキリッとした表情とは違い、すっかりパパの表情でしたね(笑)。
ー 2008年4月
プロフィール:本田 直之(ほんだ なおゆき)

明治大学商学部を卒業後、シティバンクなどの外資系企業を経て、株式会社バックスグループの経営に参画。同社で常務取締役としてジャスダック市場の株式上場を果たす。2004年にレバレッジコンサルティング株式会社を設立し、代表取締役社長兼CEOに就任。日米のベンチャー企業への投資事業を行いながら、少ない労力で多くの成果をあげるための「レバレッジ」マネジメントのアドバイスを行う。また累計70万部を超えるベストセラーになった「レバレッジ」シリーズの著者でもある。現在は東京とハワイに拠点を構え、1年の半分をハワイで過ごす。(株式会社コーポレート・アドバイザーズの取締役も兼務)

会社概要
: レバレッジコンサルティング株式会社
◆ 設立
: 2004年3月19日
◆ 資本金
: 1,000万円
◆ 事業内容
: プリンシパル・インベストメント事業、レバレッジマネジメントのコンサルティング事業
◆ URL
: http://www.leverageconsulting.jp/
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