消費税の改正~消費税率引き上げに伴う経過措置~


請負工事や資産の貸付、課税仕入れ等に係る消費税及び地方消費税の「経過措置」について

2019年10月1日から、国内において事業者が行う資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物(以下「課税仕入れ等」といいます)に係る消費税及び地方消費税については、10%(軽減対象資産の譲渡等は8%)の税率が適用される予定です。

ただし、契約時期など一定の要件を満たす取引に該当し、2014年4月1日から施行日の前日(2019年9月30日)までの間に国内において事業者が行った課税仕入れ等に係る消費税及び地方消費税については、旧税率(8%)となる「経過措置」が適用される予定です。なお、経過措置は、選択適用ではなく強制適用となりますのでご注意ください。

■主な経過措置の概要

1.指定日(2019年4月1日)以前に契約が行われた取引

(1)請負工事等

指定日の前日までに締結した工事の請負当の契約で2019年10月1日以後に引き渡した取引

取引内容
・工事、製造の請負に係る契約
・測量、設計及びソフトウェアの開発等に係る請負契約など

留意点
・指定日以後に対価の額が増額された場合、その増額部分については、経過措置の対象外となる
・指定日以後に対価の額が確定した場合は、全額が増額されたとみなされたいかの額の全て経過措置の対象外となる

 

(2)資産の貸付け

指定日の前日までに締結した資産の貸付の契約で、2019年10月1日前から貸付を行っており、かつ一定の要件を満たす取引

一定の要件とは…?
その試算の貸付に係る契約が「A及びB」または「A及びC」を満たす場合

A.貸付期間と貸付期間中の対価の額が定められていること

B.貸付の対価の額の変更をもとめることができる旨の定めがないこと → 対価の額の変更ができない

C.いつでも解約の申し入れをすることができる旨の定めがないこと  → 解約できない

 

(3)通信販売

指定日の前日までに販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了し、かつ2019年9月30日までに申込を受けて、2019年10月1日以後に提示した条件に従って商品を販売する取引

取引内容
不特定かつ多数の者に新聞、テレビ、チラシ、カタログ、インターネット等を通じで購読者または視聴者当に対して販売条件を提示する取引

留意点
・在庫一掃セールや金額値引きは、条件の変更とみなされ経過措置の対象外となる

 

2.施行日(2019年10月1日)以前に契約が行われた取引

(1)長期割賦販売等

施行日前に行った長期割賦販売等について、延払基準の方法により経理する取引

延払基準とは…?
支払期限の到来しない割賦金の部分については、現実に支払を受けたものを除き資産の譲渡等はなかったものとし、その部分を支払い期限の到来した時に試算の譲渡等が行われたものとして会計処理する取引

留意点
・「収益認識に関する会計基準」の導入により、販売時に収益を認識することになるため、割賦基準に基づく収益認識は認められなくなる(2018年4月より早期適用が認められ、2021年から強制適用)
・法人税においても新会計基準の導入にあわせ、延払基準は廃止となる(経過措置として2023年3月31日までに開始する事業年度までは適用可能)

 

(2)電気料金等

施行日前から継続して供給・提供を受ける水道光熱費、電話代等について、施行日から2019年10月31日までに支払いが確定した取引

取引内容
施行日前から行われている電気、ガス、水道、電話、灯油に係る継続供給契約に基づく取引

留意点
・水道料金等で2か月に一度献身されるようなケースは、按分の上10月分については経過措置が適用され、11月分については経過措置対象外となり新税率が適用される

 

「経過措置」については要件が非常に複雑であるため、対象となる取引が経過措置に該当するかどうか、しっかりと確認する必要があります。ご不明点や疑問点等がございましたらお問合せください。

日本クレアス税理士法人が発行している広報誌「ANGLE(アングル)」2019年5月号よりご紹介いたしました。

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