仮想通貨課税の明確化(2019年度税制改正)


適用時期と期末評価方法、税制改正の経過措置について

ここ数年で大きく注目されることとなった仮想通貨(暗号資産)の取引に絡み、今年3月までの数年間に全国で少なくとも50人と30社が総額約100億円の申告漏れを国税局から指摘されたと報道されました。

2018年末に主要通貨の相場が20倍に高騰しており、この頃に多額の売却益を得たのに税務申告をしなかったり、実際よりも少なく申告したりしたケースが相次いだとみられています。

2019年度税制改正により、法人税法上での取り扱いが明確化され、時価評価等をはじめとする規定が創設された仮想通貨の課税について解説いたします。

■主な改正の内容

(1)適応時期と期末評価方法

適用時期
2019年4月1日以後に終了する事業年度から

区分と法人税法の評価方法
  -活発な市場が存在する仮想通貨…時価法(帳簿価額と期末時点の時価との差額について評価損益を計上)
  -活発な市場が存在しない仮想通貨…原価法

活発な市場が存在する仮想通貨とは?
下記の全てに該当する仮想通貨をいいます。

(イ)継続的に売買価格等の公表がされ、かつ、その好評がされる売買価格等がその仮想通貨の売買の価格又は交換の比率の決定に重要な影響を与えているものであること

(ロ)継続的に上記(イ)の売買価格等の公表がされるために充分な数量及び頻度で取引が行われていること

(ハ)次の要件のいずれかに該当すること
 ・上記(イ)の売買価格等の公表がその法人以外の者によりされていること
 ・上記(ロ)の取引が主としてその法人により自己の計算において行われた取引でないこと

法人が期末に保有する仮想通貨に関しては、活発な市場が存在する仮想通貨は、実際に売却をしていなくても、時価評価を行い、損益を認識する必要があります(経過措置あり)。保有する仮想通貨に多額の含み益がある場合等は、注意が必要です。

(2)仮想通貨の譲渡損益

譲渡損益の計上時期
原則として仮想通貨の譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入されることになりました。

譲渡原価の算出方法
移動平均法又は総平均法による原価法(法定算出方法:移動平均法による原価法)

(3)みなし決済

法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額をその事業年度の益金の額又は損金の額に算入することになりました。

(4)経過措置

2019年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上、仮想通貨の時価評価を行っていない場合には、上記(1)及び(3)の規定を適用しないことができます。

 

仮想通貨については、消費税も含め、取り扱いが複雑となっております。また、個人が保有する仮想通貨については、取り扱いが異なります。ご不明点や疑問点等がございましたら、お問合せください。

 

日本クレアス税理士法人が発行している広報誌「ANGLE(アングル)」2019年7月号よりご紹介いたしました。

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