国外財産調書とは?


2019年7月、大阪国税局が家具の輸入販売仲介業を営む法人を国外送金等調書法違反で告発するという報道が流れました。
売上代金を他人名義の預金に入金するなどの方法で所得を除外して、約2億1,500万円の所得を隠し約8,300万円の所得税を免れ、また2017年12月31日時点において約7,300万円の国外預金を有していたにもかかわらず、国外財産調書を提出期限までに提出していなかったという内容です。

国外財産調書不提出による国外送金等調書法違反での告発は、この事件が全国で初めてとなりました。そこで今回は、国外財産調書の内容についてご説明致します。

国外財産調書とは?

(1)内容

国外に預貯金、不動産や動産、有価証券等を保有する個人が自ら記載・報告する調書で、次の2つの要件に該当する場合には、確定申告書の提出時期である翌年の3月15日までに、所轄の税務署に提出することが義務付けられています。

  1. ①永住者である居住者に該当すること
  2. ②その年の12月31日における国外財産の合計額が5,000万円超であること

つまり、非永住者や非居住者は提出する必要がなく、上記に該当するのであれば毎年調書を提出しなければいけません。

(2)優遇措置と罰則措置

国外財産調書は、期限内に提出した場合には優遇措置の恩恵があり、提出しないとペナルティを受けてしまうという両方の性質があります。

①過少申告加算税等の軽減措置(期限内に提出した場合)
国外財産調書に記載がある国外財産に関する所得税や相続税の申告漏れが生じたときであっても、その国外財産に関する申告漏れ部分の過少申告加算税等について、5%軽減されます。

②過少申告加算税等の加重措置(国外財産調書の提出がない場合又は記載内容に漏れがある場合)
国外財産調書に記載がある国外財産に関する所得税等の申告漏れが生じたときは、その国外財産に関する申告漏れ部分の過少申告加算税等について、5%加重されてしまいます。

③正当な理由のない国外財産調書の不提出に対する罰則措置
国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。

(3)今後の動向

現在、日本を含む100以上の国や地域が加盟している「OECD」(経済協力開発機構)が策定する「CRS」(共通報告基準)により、各加盟国に所在する銀行口座の残高などの情報は、各国の税務当局と自動的にやり取りすることが可能で、日本人がどこかの国で開設した口座の中身を、国税当局が把握できる環境になっています。

国外財産の有無について、今後ますます取り締まりが厳しくなることが想定されますので、今年度の確定申告書の提出の際は、国外財産調書の提出漏れに留意していただきたいと思います。

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