2020.04.01

令和2年度税制改正「連結納税制度」から「グループ通算制度」へ


令和2年度の税制改正大綱に、現行の「連結納税制度」を見直し、「グループ通算制度」へ移行することが明記されました。この改正の内容について解説いたします。

令和2年度税制改正-連結納税の見直し

1.連結納税制度とは?

「連結納税制度」とは、平成14年(2002年)に創設された制度で、企業グループ全体を1つの納税単位と考え、連結親法人がグループ全体の連結所得を計算し申告する、一体申告方式を採用していました。

グループ内での損益通算のメリットがあり、グループ全体での節税効果が期待できていたにもかかわらず、税額計算が煩雑になる点、加入や脱退の要件が厳しい点、税務調査後の更正や修正の場合にたくさんの時間を要してしまう点等、デメリットもありましたが、18年ぶりに連結納税制度を抜本的に見直し、グループ通算制度へ移行されることになります。

【改正のポイント】

グループ全体での損益通算という連結納税のメリットを残しつつ、税額計算・申告納付は各法人で!

2.グループ通算制度の主な特徴

(1)中小法人の判定

現行の連結納税制度においては、連結親法人の資本金で中小法人の判定を行っておりましたが、今回の改正により通算グループ内のいずれかの法人に大法人がある場合には、下記の中小企業向け特例措置の適用が受けられなくなることから、注意が必要となります。

・貸倒引当金
・欠損金の繰越控除
・軽減税率
・特定同族会社の特別税率の不適用
・中小企業者等向けの各租税特別措置法

※軽減税率等が適用除外となる適用除外事業者の判定についても、通算グループ内のいずれかの法人の平均所得金額(前3事業年度の所得の金額の平均)が、15億円を超える場合には、通算グループ内のすべての法人が適用除外事業者に該当します。

(2)欠損金の繰越控除

連結納税開始前に生じた連結親法人の繰越欠損金については、各連結子法人の所得から控除することができ、連結親法人の繰越欠損金が多額な場合には、連結納税制度を採用するメリットとして考えられておりました。

しかしながら、連結親法人も連結子法人と同様に、グループ通算制度の適用開始前の繰越欠損金を各連結子法人の所得から控除することができなくなり、自己の所得の範囲内でのみ控除する改正がされております。

グループ通算制度の適用法人の欠損金の繰越控除額の計算について、控除限度額は通算グループ内の各法人の欠損金の繰越控除前の所得の金額の50%相当額(中小法人等については、所得の金額)の合計額とし、控除方法は、連結納税制度と同様となります。

計算方法は上記の通り、連結納税制度と基本的には改正がされておりませんが、(1)の改正により100%控除できていた欠損金が、所得の金額の50%相当額となるケースが生じることがあるので、注意が必要となります。

(3)個別申告方式

連結法人制度のデメリットの1つとして、税額計算が煩雑であり、グループ企業間での密な連絡・調整が発生し、事務負担が重いということが挙げられます。こうした事務負担を軽減するために、企業グループの各法人が個別に税額計算及び申告を行う、個別申告方式が採用されることになりました。

※グループ通算制度の適用法人は、電子申告(e-Tax)により法人税及び地方法人税の申告書を提出しなければならないこととされます。

(4)青色申告制度の見直し

連結申告法人は青色申告制度の対象外でしたが、グループ通算制度では適用法人のすべてが青色申告法人であることが前提となり、青色申告の承認取消から5年を経過していない法人、青色申告の取りやめの届出から1年を経過していない法人は、グループ通算制度の適用除外法人となります。

【グループ通算制度と青色申告制度との関係性】

(イ)青色申告の承認を受けていない法人がグループ通算制度の承認を受けた場合には、青色申告の承認を受けたものとみなされます。

(ロ)グループ通算制度の承認を受けている法人が青色申告の承認を取り消される場合には、グループ通算制度の承認を取り消されたものとみなされます。

(ハ)グループ通算制度の承認を受けている法人は、青色申告の取りやめをできないことになります。

(5)損益通算

グループ通算制度では、納税主体が各法人となることから、それぞれの法人が所得金額、欠損金額を計算した上で損益通算を行います。欠損法人の欠損金額の合計額(所得法人の所得の合計額を限度)を所得法人の所得の金額の比で按分し、所得法人において損金算入します。損金算入された金額の合計額を欠損法人の欠損金額の比で按分し、欠損法人において益金参入します(プロラタ方式)。

当初申告に誤りがあった場合は、損益通算できる欠損金の額を原則として当社申告額に固定させることで、他のグループ法人の税額計算に影響を与えないことになります。そのため、従前は税務調査等により連結納税グループ内の法人の1社でも所得に異動が生じた場合には、全社が修正申告をしなければなりませんでしたが、改正により修正申告の対象となっていない法人には影響が生じないことになります。

 

グループ通算制度は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。現在、連結納税制度を採用されている法人については、グループ通算制度に移行せずに単体納税制度に復帰することもできますので、制度の内容を見極めて、しっかりとした検討が必要です。

移行に関してご不明な場合は、お気軽にご相談ください。

 

日本クレアス税理士法人が発行している広報誌「ANGLE(アングル)」2020年4月号よりご紹介いたしました。

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