2021.05.27

新型コロナウイルスの影響による災害損失欠損金の繰戻し還付制度について


「青色欠損金の繰戻し還付制度」とは

青色申告法人でその事業年度に欠損金が生じた場合には、その法人が還付請求を行うことで、その事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税等の還付を受けることができる「青色欠損金の繰戻し還付制度」があります。

この制度は青色申告法人で中小企業者等(原則として期末資本金が1億円以下となる法人)が適用を受けることができましたが、新型コロナウイルスの影響により令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度において生じた青色欠損金については、中小企業者に限らず、期末資本金の額が1億円超10億円以下の一定の法人についても拡大して適用を受けることができることになっています。

すべての法人が対象の「災害損失欠損金の繰戻し制度」とは

青色欠損金の繰戻し還付とは別に、「災害損失欠損金の繰戻し還付制度」があります。

災害のあった事業年度またはその事業年度の中間申告時において災害損失欠損金が生じたときに、その事業年度の前1年以内(青色申告法人は前2年以内)に開始した事業年度の法人税のうち、災害損失欠損金に対応する部分に関して還付を受けることができる制度です。

 

こちらは青色、白色に関係なく、さらに期末資本金の額の制限もないため、すべての法人が対象となります。青色申告法人については災害損失欠損金について前々期の黒字とも相殺が可能です。

注意が必要なのは、災害損失欠損金の繰戻し制度の還付対象は、青色欠損金の繰戻し還付と同様、国税部分のみ(法人税・地方法人税)ですので、地方税は対象とならない点です。

災害損失欠損金の範囲

災害により棚卸資産や固定資産等について発生した損失が該当になります。保険金や損害賠償金によって損失補填された部分を除き、資産の滅失や原状回復費用、被害拡大や感染防止のための費用を含みます。

つまり、保有資産に直接生じた被害に加え、その被害の拡大や感染防止のために直接要した費用がどうかが災害損失欠損金に該当するかどうかのポイントとなります。

 

今回の新型コロナウイルスの影響による災害損失欠損金の事例については、国税庁の「新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」によると次のようになっています。

災害損失欠損金に該当する例

・飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等(固定資産)の除却損
・施設や備品などを消毒するために支出した費用
・感染発生防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
・イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等(棚卸資産)の廃棄損

災害損失欠損金に該当しない例(被害拡大や感染防止に直接要した費用とはいえないため、除外されます。)

・客足が減少したことによる売上減少額
・休業期間中に支払う人件費
・イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上げ料、備品レンタル料

留意すべき点

青色欠損金と災害損失欠損金の繰戻し還付を併用の場合

災害損失欠損金の繰戻し還付を受ける場合は青色欠損金の繰戻し還付との併用で、前期・前々期ともに課税所得が生じている場合は、どちらの年度から繰戻しを行うかはそれぞれの法人の任意となります。

一般的には前期・前々期それぞれの税負担割合(法人税額÷課税所得金額)が大きい事業年度から繰戻しを行うと還付税額が大きくなり、有利になるものと思われます。

繰戻し還付制度は国税当局が調査を行うことが必須

繰戻し還付制度のおける還付請求を受けた国税当局は、欠損金の金額などを「調査」したうえで法人税の還付を行うことになっています。

新型コロナウイルスの影響による災害損失欠損金においても、調査が行われることになりますが、必ずしも税務職員が行う質問検査などの実地調査に限定されず、机上調査や準備調査等の調査方法を経て、速やかに還付がされるケースが多くなるだろうと思われます。

 

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