2022.04.04

令和4年度税制改正


概要

令和3年12月10日、与党は「令和4年度与党税制改正大綱」をリリースしました。
岸田内閣における今年度の税制改正のねらいは新型コロナウイルス感染症対策を行いつつ、未来の成長路線を実現させるため、「成長の分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」の2つのコンセプトを掲げています。
また、改正電子帳簿保存法における電子データ保存義務化について、制度への対応の遅れから令和5年12月31日まで紙保存容認の措置が設けられました。さらに、大企業・中小企業ともに税制創設以来、最も控除割合が大きい「賃上げ促進税制」や、消費税における免税事業者の登録手続の経過措置期間の延長など、納税者にとって有利となる内容も多く盛り込まれています。

減税措置関連などの納税者有利の主な税制改正

オープンイノベーション促進税制の一部見直し

一定のベンチャー企業への出資額(新規発行株式)の25%相当額を課税所得から控除することができるオープンイノベーション促進税制(減税措置)について、受け手側の対象法人の要件が拡充、買い手側の対象株式の保有見込み期間が短縮となりました。その上で適用期限は2年延長となりました。

出資を受けるベンチャー企業(受け手)側の要件

改正前 改正後(期間の要件緩和)
一定の要件を満たす株式会社等で、
設立の日以後の期間が10年未満であること
一定の要件を満たす株式会社等で、
売上高に占める研究開発費の額の割合が
10%以上の赤字会社(研究開発型ベンチャー)は
設立の日以後の期間が15年未満まで拡充

出資した法人(買い手)側の要件

改正前 改正後
対象株式の保有見込みの期間が特定株式取得の
日から5年
であること
※5年を超える場合は繰り入れている特別勘定の金額を取り崩して益金算入する
対象株式の保有見込みの期間が特定株式取得
の日から3年であること
※3年を超える場合は繰り入れている特別勘定の金額を取り崩して益金算入する

封じ込め措置関連などの納税者不利の主な税制改正

少額減価償却資産等の損金算入制度の見直し

少額減価償却資産等の損金算入制度において、それぞれの取得対象資産について、貸付業を本業で行っている場合を除き、その取得ののち、貸付の用(リース)に供するものについては、即時償却などによる損金算入の適用を認めないこととされました。

こちらはドローン、建設用足場、LED照明などを大量購入し、少額減価償却資産の損金算入制度などを使って損金算入し、その後リースの用に供しリース(レンタル)による貸付収入を、損金算入時期より遅れて計上することで早期損金算入を実現させるスキームを封じる改正と言われています。

各損金算入制度の見直し

改正前 改正後
少額減価償却資産の
損金算入制度
(10万円未満または使用可能
期間が1年未満)
取得事業年度で
全額損金算入
取得ののち、
貸付の用(リース)に
供するものについては、
即時償却などによる
損金算入の適用を認めない
3年均等の一括償却資産の
損金算入制度
(取得価額が20万円未満)
取得事業年度から
3年均等償却
中小企業者等の
少額減価償却資産の
損金算入の特例
(取得価額30万円未満)
年300万円までは
取得事業年度で
全額損金算入

 

特定税額控除不適用措置の見直し

収益が拡大しているにもかかわらず、賃上げや設備投資に消極的な一定の大企業に対して、税制優遇となっている各租税特別措置法上の特定税額控除(研究開発税制、地域未来投資促進税制、5G投資促進税制、カーボンニュートラル投資促進税制、DX投資促進税制)の適用を停止する措置について、現行も設けていましたが、より一層強化されることになりました。

下図の要件のいずれにも該当しない場合には、各種税額控除の適用がありません。

改正前 改正後(賃上げ要件強化)
期末資本金1億円超の大企業で、次の①②の
要件のいずれも満たさない場合は、不適用の
対象となる。
1.当期の継続雇用者の給与等支給額が前期
  よりも増加
していること
2.国内設備投資額が当期の減価償却費総額
の30%超となること
※ 課税所得の金額が前期を超えている場合
  に限られる
期末資本金が10億円以上かつ、
常時使用する従業員数が1,000人以上で、
前期が黒字となっている大企業については、
継続雇用者給与等支給額が前期対比で
1%以上増加
していること
(令和4年4月1日から令和5年3月31日までに
 開始する期にあっては、0.5%以上増加)

このほかの制度改正

改正電子帳簿保存法における電子データ保存義務化について、制度への対応の遅れから令和5年12月31日まで紙保存容認の措置が設けられました。こちらの措置については、別途メルマガなどで詳しくご説明していますので、今回のご説明は割愛いたします。また、電子帳簿保存法の無料セミナーも行っておりますので、ぜひご参加ください。
今回は法人課税関係のうち、減税措置関連などの納税者有利の税制改正と、封じ込め措置関連などの納税者不利の税制改正を中心に、主なものをまとめました。「賃上げ税制」及び「グループ通算税制」の改正内容については、広報誌ANGLE2022年6月号にて改めて紙面を割いて詳しくご説明します。

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