2026.06.04
相続
遺産整理は自分でも出来る?~遺言執行者の専任~

遺言の説明を受ける場面では、とりわけ遺族が揉めないために、遺言内容の工夫などをメインに扱うことが多いですが、
実際に相続が起きて遺言書が有効になった後の実務のことを考えてみたことはあるでしょうか?
遺言書に書かれた故人(被相続人)の遺志を実際に実現するには、現実の人の手によって各種の手続きが必要になります。
その手続きをする人のことを「遺言執行者」と呼びます。
様々な立場の人が遺言執行者になることができますが、相続を「争続」とすることなく、円満に行うためにも、
遺言執行者に関して理解を深めておくとよいでしょう。
そこで今回は、遺言執行者の概要や選任することのメリット、手続き方法について幅広く解説いたします。
1遺言執行者とは?
遺言執行者は、民法では「相続人全員の代理人とみなす」と規定しています。
遺言執行者は、遺言に書かれている内容に従い、財産の名義変更や役所への届出などを行っていきます。
相続人全員の代理人ではあっても、遺言執行者は独自の立場で遺言の執行を行うことになっています。
遺言執行者は、就任を承諾したら直ちにその任務を行わなければなりません。
遺言の執行としての不動産の登記手続き、銀行預金の名義変更など、相続手続きの一切を請け負います。
2遺言執行者の権利と義務
遺言執行者となった人には、遺言執行者に就任したことを相続人などに知らせるために「就任通知書」を作成したり、
相続人を確定するために戸籍などを取り寄せたり、相続財産目録を作成して相続人全員へ交付するなどの義務があります。
また、預貯金の解約・払い戻し・名義変更や、相続財産に不動産があるときは相続登記の手続きを行うなど、相続財産の管理、
その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利を持ちます。
3遺言執行者を指定するメリット
遺言執行者だけが執行できる事項以外については、遺言執行者がいない場合には、相続人が遺言の実行に必要な手続きをしていくことになります。
しかし、たとえば土地を相続人の一人に相続させる場合にも、相続人全員の印鑑証明が必要になってきます。
相続の内容に納得していない相続人がいる場合には、遺言の実行が困難になってきます。
ここで遺言執行者を指定しておけば、遺言執行者の印鑑証明があれば名義変更が可能となるので、遺言の実行がスムーズに進むのです。
そのほかにも、相続人が相続財産を勝手に処分することを防止したり、遺言執行者が代表になることで面倒で複雑な手続きをまとめて行うことができたり、
遺言執行者を指定しておくことのメリットは大きく、争いごとの多くなりがちな相続の負担を軽くすることができます。
4遺言執行者の選び方
それではどのように基準で遺言執行者を選任すればいいのでしょうか。
遺言執行者にはある程度の社会経験や法律の知識が必要です。
複雑で面倒な手続きを一手に引き受け、金融機関や役所などの手続きも行わなければならないので、時間も必要です。
また、利害関係のある複数の相続人の代理人として遺言を執行していかなければならないので、強い意思や公平さも必要です。
相続人同士の利益が相反し、相続争いがある場合、第三者を遺言執行者にして処理を任せた方がスムーズに筋道をつけられる可能性があります。
第三者を遺言執行者に選ぶ場合には、金融機関、弁護士や相続専門の税理士などであれば、相続税の申告も取り扱い、
相続財産の評価から相続に必要な法律知識まで有しているので、安心して遺言執行者を任せることができます。
5遺言執行者を選任する方法
遺言執行者は、口頭などで指定するだけでは選んだことにならず、一定の手続きが必要になります。
遺言執行者を指定する手続きには、以下の2つの方法があります。
1.遺言書に遺言執行者を記載しておくか、遺言書に特定の第三者に遺言執行者を決めてもらうように記載する。
2.本人の死亡後、相続人などの利害関係者が、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうよう請求する。
遺言執行者として指定されても、遺言執行者を引き受けるかどうかは本人の意思によりますので、
遺言書に記載する前に本人の承諾を受けてから記載すると良いでしょう。
相続人も執行者となれますが、相続人同士の利益が相反する場合があると、適切に処理できない可能性があります。
遺言執行者は、遺言書によって指定しておくことができますが、遺言執行者の指定がない場合は、相続人全員で手続きをします。
6まとめ
遺言執行者は、遺言執行者がどうしても必要なケースはもちろん、法律上は遺言執行者が必要のない場合にも、
選任しておいたほうが相続の手続きをスムーズに行うことができ、相続における不要な争いを避けることにもつながります。
必要な法律知識、手続きにかかる時間、相続人間の調整などを考えると、
第三者の立場から遺言の執行ができる税理士等の相続の専門家に依頼をすることが望ましいといえるでしょう。
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