2021.10.28

インボイス制度の注意点‐よくある実務上のご質問と回答(Vol.543)


2023年10月から消費税の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が開始されます。適格請求書発行事業者の申請が10月よりすでに始まっており、また消費税の納税負担額にも影響するため、納税者の皆様にとっては非常に興味関心の高い内容となっております。

国税庁を始め、様々な税務関連の記事でもインボイス制度の解説が行われていますが改めて、より実務的な視点での代表的なご質問とその回答をご紹介します。今後のインボイス制度のご不明点の解消にお役立ていただければと思います。

なお、日本クレアス税理士法人ではインボイス制度導入のためのポイントを解説するセミナーを開催いたします。オンラインでどなたでもご参加いただけます。あわせて日々の業務の参考にご活用いただければと思います。

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■1.手書きの領収書

現在、顧客に手書きの領収書を交付しています。インボイス制度導入後においても、その手書きの領収書を適格請求書として交付することはできますか。また、「品代」と記載したり、宛名を記載せず買い手側で記載してもらった領収書については適格請求書となりますでしょうか。

<回答>
適格請求書の記載要件を満たせば、手書き(ゴム印なども可)の領収書であっても構いません。

買い手側で宛名などを手書きしてもらうのはNGです(領収書の再交付が原則です)。適格請求書の記載要件は次の通りです。
(1)適格発行事業者(売り手)の氏名又は名称及び登録番号
(2)譲渡等年月日
(3)譲渡等資産又は役務の内容(「品代」は不可)
(4)資産譲渡等の税抜又は税込金額を税率ごとに区分した合計額、適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)交付を受ける事業者(買い手)の名称等(「上様」やブランクは不可)

■2.番号記載がないインボイスの取扱い

取引先に誤って「登録番号」の記載がないインボイスを交付したので、自社の登録番号を取引先に知らせて、取引先で請求書に追記して対応してもらいました。
手書きではありますが、登録番号が記載されていれば問題ないでしょうか。

<回答>
取引先が適格請求書の再発行をすることになります。
売り手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書などの記載事項に誤りがあったときは、買い手に対して、修正した適格請求書などを交付しなければなりません。(新消法57の4④⑤)

■3.適格返還請求書の記載事項

取引先に対し9月に販売した商品100個のうち、翌月10月に20個の返品がありました。10月に交付する適格返還請求書に下記の返品情報が記載されていれば問題ないでしょうか。
・返品日
・商品名、個数、単価
・税率ごとに区分した税抜金額、税率、消費税額

<回答>
返品した商品の購入時期(9月分など)を記載する必要があります。

課税事業者に対して売上返品、割戻し等を行う場合、 適格返還請求書を交付する義務が課されており、 「課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載することとされています。(新消法57の4③)

■4.立替金に対する仕入税額控除

当社は、親会社A社から宛名にA社名が記載された外部仕入先B社発行の「領収書<適格請求書>」とA社作成の「立替金精算書」を受領したので、A社へ立替金精算の支払いをしました。当社はA社へ支払った立替金について、仕入税額控除を受けられますでしょうか。

<回答>
仕入税額控除をすることができます。
親会社A社から立替金精算書を受け、外部仕入先B社の領収書が当社のものであることが明らかである場合には、そのB社発行の「領収書現物<適格請求書>」とA社発行の
「立替金精算書」の保存をもって、適格請求書等の保存要件を満たすことになります。(インボイス通達4-2)

なお、立替払を行うA社が仮に免税事業者であっても、外部仕入先B社が適格請求書発行事業者であれば、仕入税額控除を行うことができます。

■5.適格簡易請求書の交付ができる事業

適格請求書に代えて、適格簡易請求書(簡易インボイス)を交付できるのはどのような場合ですか。

<回答>
適格請求書発行事業者が、「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」の場合(BtoC)には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます。

適格簡易請求書と適格請求書の記載事項の相違点は次の2点です。
(1)買い手の名称等の記載が不要である点
(2)税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りる点

「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」とは、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、不特定多数の者に対する駐車場業のほか、その他これらの事業に準ずる事業で不特定多数の者に対して事業を言います。

当事業に該当するかどうかの判断は、個々の事業の性質により行います。例えば、資産の譲渡等を行う者が取引時に相手方の氏名等を確認せず、取引条件等をあらかじめ提示して相手方を問わず広く資産の譲渡等を行うことが常態である事業などが該当します。

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広報誌ANGLEや過去のメルマガでは、インボイス制度の概要について解説を行っています。以下URLよりご覧いただけますのであわせてご参考ください。

◆インボイス制度の概要とよくある質問-いよいよ事業者申請開始(2021.9.2)
https://j-creas.com/business_eye/7360/

◆インボイス制度/仕入税額の計算と免税事業者の取扱いについて(2021.10.1)
https://j-creas.com/tax-topix/7477/

 

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